ベルギーとは

ベルギーワッフル、ビール、チョコレートなどで有名なベルギー王国の話です。
現国王はアルベール2世、首都は北部にあるブリュッセル、自転車競技が盛んでサッカーも強いですね。
EU(ヨーロッパ連合)は、ベネルクス3国の関税同盟が土台となり、EC(ヨーロッパ共同体)を経てEUへと発展したものですが、ベルギーはその原加盟国(ベネルクス3国と独、仏、伊の6カ国)のひとつで、首都ブリュッセルにはEUの本部があります。
ベルギー分裂の危機
ベルギーは、国王を戴いた立憲君主制の国ですが、現在、南北に分裂する危機が続いています。
南部のワロン地域にはワロン語、フランス語を話すワロン人(ケルト系)、北部のフランデレン地域にはフラマン語(オランダ語の方言)を話すフランデレン人(ゲルマン系)が住んでいます。
つまり、ヨーロッパの二大文化であるゲルマンとラテンの境目なんですね。
建国以来、単一の国家だったのですが、南北の両地域は民族、文化、言語の違いなどから対立が続いていて、1993年から連邦制に移行しています。
2007年の選挙で、北部フランデレン地方の政党が勝ったのですが、その後北部の権限拡大などを掲げたために南部が反発し、 組閣できないためにベルギー政府は空白状態になりました。
ついにベルギー分裂かと思われましたが、なんとか乗り切って分裂は回避されています。
2007年の選挙に勝ったフランデレンのイブ・ルテルム氏が、2008年首相になりましたが、この人はかなりの天然系で、某国大統領といい勝負かもしれません。
というのも、7月21日(ベルギーの建国記念日)がなぜ祝日なのかを知らないし、「国家を歌ってください」といわれてベルギー国歌「ラ・ブラバンソンヌ」ではなくフランス国歌「ラ・マル セイエーズ」を歌ってしまう人なんです。
「フランダースの犬」とベルギー
さて、ベルギーのフランデレン地方は、英語ではフランダースといいます。
そう、「フランダースの犬」のフランダースです。
「フランダースの犬」の舞台はフランデレン地方のアントワープ近郊の「ホーボーケン」と思われます。
アントワープの聖堂に飾られていた絵の作者ルーベンスは、フランドル絵画を代表する画家です。
原作はイギリスの女流作家ウィーダ(本名ルイス・ド・ラ・ラメー)の書いた童話です。
日本では絶大な支持がある「フランダースの犬」ですが、舞台となったベルギーではほとんど知られていなかったようです。
しかし、日本人観光客からの問い合わせが多かったためか、1986年にはホーボーケンにネロとパトラッシュの銅像が建てられ、 2003年にはアントワープ・ノートルダム大聖堂前の広場に記念碑 が設置されました。
「フランダースの犬」の雑学
世界名作劇場第一作で放送されたアニメ「フランダースの犬」のテーマソング「よあけのみち」の歌い出し、「Zingen Zingen Kleine Vlinders(ジンゲン、ジンゲン、クレイーヌ ヴリンダース)」はフラマン語で「歌え 歌え 小さな 蝶々」の意味です。
小説の日本語版は1908年(明治41年)に初めて「フランダースの犬」(日高善一 訳)として出版されました。
当事、西洋風の固有名詞が受けが悪いと考えられたのでしょう、ネロは清(キヨシ)、パトラッシュは斑(ブチ)と訳されています。
なんでもハッピーエンドじゃなければ気がすまないアメリカで出版されている「フランダースの犬」では、ハッピーエンドとなるように改変されています。
ネロとパトラッシュが死ななかったり、ネロの父親が名乗り出たりラジバンダリ。
パトラッシュは、原作ではフランドル原産のブーヴィエ・デ・フランドルという種類の黒い毛むくじゃらの犬で、アニメのパトラ ッシュとはまったく印象が違います。
そのため、ホーボーケンに建てられた銅像(原作通りの犬種)を見た日本人観光客は「こんなのパトラッシュじゃない!」となる ことが多いようです。
ホーボーケン観光の際にはそのことを理解してからパトラッシュに会いましょう。
(08/08/27)
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(08/08/27)掲載